*見慣れぬミスジのスズメダイ ― 2013/11/28 20:40
黒い3本ラインのスズメダイ。
浅場で見慣れたミスジリュウキュウスズメダイかなと,
初めて見たときはそう思いました。
でも,見慣れた姿とはどこか違和感があるし,
生息環境があまりにも違いすぎる。
調べてみると,似て非なるスズメダイでした。
ミスジスズメダイ
撮影者:どこせん旦那
撮影地:坊津(鹿児島),-35m
撮影機材:ニコンD7000/105mm F2.8マクロ
撮影データ:SS1/125秒,F13,ISO200
撮影データ:SS1/125秒,F13,ISO200
ミスジリュウキュウスズメダイは,
真ん中の黒帯が腹びれまで及びます。
本種は,黒帯は腹部で途切れ,
腹びれは白くなっています。
やや深い砂礫域に,
幼魚,やや若魚,若魚の微妙にステージの違う
3個体が付かず離れずのトライアングルを保って
浮かぶようにしていました。
*ニラミギンポ黄化個体?婚姻色? ― 2013/11/21 07:17
ニラミギンポと言えば,
全身黒くて,所々青筋が入り,尾鰭が黄色,
というイメージがありますが,
こんな個体を奥様が発見しました。
ニラミギンポ(色彩変異)
撮影者:どこせん奥様
撮影地:坊津(鹿児島)
撮影機材:ニコンD7000/105mm F2.8マクロ
撮影データ:SS1/125秒,F11,ISO100
撮影データ:SS1/125秒,F11,ISO100
ここまで体色が明るいと,
一瞬ハナダイギンポか?思ってしまいましたが,
どうも,ニラミギンポの黄化個体のようです。
(婚姻色なのでは?という意見もあります。)
ニラミギンポ(色彩変異)
撮影者:どこせん奥様
撮影地:坊津(鹿児島)
撮影機材:ニコンD7000/105mm F2.8マクロ
撮影データ:SS1/125秒,F5,ISO100
撮影データ:SS1/125秒,F5,ISO100
(本村浩之; 出羽慎一; 古田和彦; 松浦啓一)
によると,
ニラミギンポ(p303)の色彩に関する説明の中で,
ーー以下抜粋
「色彩 体側は尾柄部を除き黒色で、
尾鰭を除く各鰭条も黒色。
尾柄部から尾鰭にかけて鮮やかな黄色。
生時には頭部、 体側に青白い模様が
みられる個体もいる。
硫黄島では本種の色彩変異とみられる標本も
採集された。
体色は頭部 ・ 背鰭 ・ 臀鰭 ・ 尾柄部から
尾鰭にかけては濃い黄色、 胸鰭後部から
尾柄部にかけては灰色がかった黄色をしている。」
ーー抜粋ここまで
という記載があり,
前掲の写真の個体とよく似た標本写真が
掲載されています。
この資料を作成された研究者の方々は,
婚姻色という一時的な変化ではなく,
常態的な色彩変異(黄化個体)という捉え方を
しているようです。
ニラミギンポ(色彩変異 yg.)
撮影者:どこせん旦那
撮影地:坊津(鹿児島)
撮影機材:ニコンD70s/105mm F2.8マクロ
撮影データ:SS1/200秒,F10,ISO200
撮影データ:SS1/200秒,F10,ISO200
さて,この個体は,体色はしっかりとした黒ですが,
尾柄部から尾鰭に加えて,背鰭が黄色になっており,
オーソドックスな黒いニラミギンポと,
黄化個体のニラミギンポの中間的な色彩を呈しています。
色彩変異にもいろいろなバリエーションがありそうです。
ニラミギンポはいるところにはやたらといる,
いわゆる普通種ですが,
こうしてみると,意外に解明されていない部分も
残されているようですね。
分布している地域差によるものなのか,否か,
婚姻色との関係はあるのか,ないのか,
サンプルを増やして考察していく必要があります。
今後はスルーせずに,
努めて全身写真を撮るように心がけます。
*生態写真稀少?セグロイトベラ ― 2013/11/17 12:20
長崎・辰ノ口の水深-20m付近。
大小の岩が散在する砂地に,
これまで見かけたことのない姿が目に入りました。
そのときはあまり気にも留めず,
あとで名前を調べられるようにと,
数カット撮影してその場を去りました。
「日本のベラ大図鑑」で調べたところ,
セグロイトベラではないかと思われます。
セグロイトベラ
撮影者:どこせん旦那
撮影地:辰ノ口(長崎), -20m
撮影機材:ニコンD7000/105mm F2.8マクロ
撮影データ:SS1/125秒,F10,ISO250
撮影データ:SS1/125秒,F10,ISO250
「日本のベラ大図鑑」の著者,
西山一彦氏によると,
「雄成魚は尾鰭上部から中心部にかけて,
斜めに黒色線が走る。
環境や状態によって体色が変化する。
潮通しのよい,きれいな砂地に点在する岩礁,
サンゴ域などに生息する。
深い水深の綺麗な砂地を好む。稀種。
オーストラリア北西部,南日本太平洋岸,
伊豆諸島,小笠原諸島,琉球列島に分布。」
とのことです。
(「日本のベラ大図鑑」および著者ブログより抜粋)
また,雌雄共に(イトベラは雄のみ)
背びれの前方に,黒斑があることが本種の特徴で,
上の画像でもかろうじて確認できます。
これが「セグロイトベラ」の名の由来かもしれません。
ネット上で画像を検索してみましたが,
数えるほどしかヒットしませんでした。
とりたてて美しいというわけでもなく,
形,色,模様ともわりと地味な感じですので,
あえて被写体に選ばれることが少ないのでしょう。
知る人ぞ知るといった感じの隠れた稀種ですね。
参考サイト
通常は水深-30mを超えるようなところで
見られるようですが,
このときは水深-20mくらいのところに,
3〜4匹ほど集まってスイスイと泳いでいました。
体長10cmくらいだったので,
おそらく成魚であろうと思われます。
全国的世の中的には稀種だけど,
辰ノ口では普通種なのか,
普段は姿を見せないけど,
何らかの理由で(例えば繁殖とか)
たまたまここにきていたのか,
気になるところです。要観察。
まだまだ知らないことが湧き出る長崎・辰ノ口です。
下の画像は坊津で撮影したものです。
セグロイトベラ
撮影者:どこせん旦那
撮影地:坊津(鹿児島), -40m
撮影機材:ニコンD7000/105mm F2.8マクロ
撮影データ:SS1/125秒,F10,ISO200
撮影データ:SS1/125秒,F10,ISO200
最近のコメント