*極チビピグミー ― 2013/11/14 21:00
坊津の海でもおなじみとなった,
会いにいけるアイドル,ピグミーシーホース。
現金なもので,いつでも会えるとわかってしまうと,
ついつい,スルーしてしまうこともよくある話で,
第一発見者として,少々申し訳ない気もします。
でも最近,とても悲しいことになっていました。
住処となっていたイソバナの一部が折れて,
どこかになくなってしまっており,
それに伴ってかどうかは謎ですが,
複数いた個体が,
たった1匹になってしまったそうです。
この2年間,元気にコロニーをつくって,
安定して平和に暮らしていただけに,
単なるお引っ越しとも思えず,
にわかには信じられない出来事でした。
ピグミーシーホースは,生涯一夫一婦制だそうです。
今回の出来事で,つがいの関係が壊れていたとしたら,
とても悲しいことです。
また賑やかなコロニーに早く復活してほしいと
願いつつ,孤独となってしまった家主の様子を
お見舞いに訪れました。
潮の流れがやや強く,イソバナのポリプが開き加減で,
写真映えするシチュエーション。
押し並べて単調な風景になってしまいがちな
ピグミーシーホースの写真に
ありがたいアクセントを与えてくれます。
見慣れた個体をやすやすと見つけ出し,
ファインダーをのぞいて撮影を始めた奥様が,
突然,聞き取り不能な大声を上げました。
驚いて,近づいた私(旦那)の目の前に
差し出されたスレートに走り書きされたコメントは,
「子ども産んどる,2匹産んどる」
慌てて,目をこらしてよくよく見てみると,
成魚の頭くらいの大きさしかない,
およそ5mmくらいの極小サイズの個体が2匹,
イソバナの枝にしがみついていました。
ピグミーシーホース/幼魚
撮影者:どこせん旦那
撮影地:坊津(鹿児島)
撮影機材:ニコンD7000/105mm F2.8マクロ
撮影データ:SS1/125秒,F16,ISO100
撮影データ:SS1/125秒,F16,ISO100
大人の個体を撮影していたら,
カメラを動かした拍子に,ファインダーの中に,
チラッと白い小さなものが映ったそうです。
身内ながら,奥様の鋭い眼力に脱帽です。
頼りになります。
ピグミーシーホースという呼称自体が,
極小のタツノオトシゴということですが,
通常サイズの親が巨体に見えてしまいます。
大人の個体とは少し離れていたため,
並べてサイズ比較できるような撮り方ができず,残念。
あまりの小ささに体がほとんどイソバナの枝に
隠れてしまっています。
せっかくポリプ全開のおいしい場面ではありましたが,
今回は初見のため,フォーカス重視で絞って撮影です。
撮影者:どこせん旦那
撮影地:坊津(鹿児島)
撮影機材:ニコンD7000/105mm F2.8マクロ
クローズアップレンズ使用
撮影データ:SS1/125秒,F16,ISO100
撮影データ:SS1/125秒,F16,ISO100
突き出た口元がなんともチャーミング。
唇が鮮やかなピンク色。
口の中心に穴があいているのがよくわかります。
この口で小型の動物プランクトンやベントスなどを
吸引して補食するらしい。
ちなみに,ピグミーシーホースは,
シーホースすなわちタツノオトシゴ属のうち,
3cmに満たないような小さな種の仲間の総称です。
サイズの境界線の定義は明確ではないらしく,
研究者によって,とらえ方が違います。
また,固有種や,詳しい精査が必要な種,
通称ジャパニーズ・ピグミーシーホースのような,
未記載種もまだありますから,
今後の発見や研究の動向にも要注目です。
参考サイト
写真掲載したピグミーシーホースは,
バージバンティピグミーシーホース
(Hippocampus bargibanti)
です。
日本でも発見されてからかなりの年月が経ちますが,
標準和名は未だ決まっていないようです。
すでにピグミーシーホースという名前が,
世間に浸透してしまってはいますが,
英名をそのまま使うというのはないでしょうし,
「ピグミー」という用語が侮蔑的であるという考え方も
あるようですから,最近の流れからいくと,
やはり別の名前が用意されるのではないかと思います。
何はともあれ,繁殖を確認することができ,
失意から希望へと大きく転換です。
コロニー復活祈願。
*孔雀(桃色閃光)幼少時代 ― 2013/11/11 06:09
*孔雀またの名を桃色閃光 ― 2013/11/01 00:43
クジャクベラ(ピンクフラッシャー)
撮影者:上/どこせん奥様,下/どこせん旦那
撮影地:坊津(鹿児島)
撮影機材:ニコンD7000/105mm F2.8マクロ
撮影データ:SS1/125秒,F11,ISO100
撮影データ:SS1/125秒,F11,ISO100
コーナー状になっている潮通しが良いやや浅めの岩場。
流れてくるプランクトンを夢中で食べている
イトヒキベラの群れに混じって,一匹の魚が,
一瞬たどたどしいディスプレイを見せた。
フラッシャーには目がない奥様が,
妙に場違いなその個体を見逃さず,
「ピンクフラッシャーがおる!!」
と大慌てでスレートに書いて教えてくれた。
大きさは6cmくらいと,とても小柄だったが,
背びれの伸長はまだ中途半端であるものの,
オスの特徴が出始めていた。
しかし,ヒレを閉じて泳いでいると,
すっかりイトヒキベラの群れに紛れてしまい,
目を離すとあっという間に見失ってしまう。
ベラの仲間の最大の特徴の例に漏れず,
本種も一夫多妻的な配偶システムでハーレムを形成し,
雌性先熟で,メスからオスへと性転換する。
だが,この個体は群れからはぐれて
単独でさまよううちに,
イトヒキベラの群れに紛れてしまったのだろう。
この個体の成長を抑制するものが,
周囲に不在だったために,
通常ならメスにとどまっているはずのサイズのうちに,
オスの特徴を出現し始めてしまったのだろうか?
本種の分布は,
国内では南日本太平洋岸,小笠原諸島,琉球列島とある。
鹿児島県では,屋久島でよく見られるようだし,
幼魚なら,もっと多くの場所で観察されているが,
九州本土沿岸での成魚に近い個体の観察例は
比較的珍しいのではないか。
ただ,残念ながら,未だ再会は果たせていない。
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