*孔雀またの名を桃色閃光2013/11/01 00:43


クジャクベラ(ピンクフラッシャー)
撮影者:上/どこせん奥様,下/どこせん旦那
撮影地:坊津(鹿児島)
撮影機材:ニコンD7000/105mm F2.8マクロ
撮影データ:SS1/125秒,F11,ISO1
00

コーナー状になっている潮通しが良いやや浅めの岩場。
流れてくるプランクトンを夢中で食べている
イトヒキベラの群れに混じって,一匹の魚が,
一瞬たどたどしいディスプレイを見せた。

フラッシャーには目がない奥様が,
妙に場違いなその個体を見逃さず
「ピンクフラッシャーがおる!!」
大慌てでスレートに書いて教えてくれた。

大きさは6cmくらいと,とても小柄だったが,
背びれの伸長はまだ中途半端であるものの,
オスの特徴が出始めていた。

しかし,ヒレを閉じて泳いでいると,
すっかりイトヒキベラの群れに紛れてしまい,
目を離すとあっという間に見失ってしまう。

ベラの仲間の最大の特徴の例に漏れず,
本種も一夫多妻的な配偶システムでハーレムを形成し,
雌性先熟で,メスからオスへと性転換する。
だが,この個体は群れからはぐれて
単独でさまよううちに,
イトヒキベラの群れに紛れてしまったのだろう。

この個体の成長を抑制するものが,
周囲に不在だったために,
通常ならメスにとどまっているはずのサイズのうちに,
オスの特徴を出現し始めてしまったのだろうか?

本種の分布は,
国内では南日本太平洋岸,小笠原諸島,琉球列島とある。
鹿児島県では,屋久島でよく見られるようだし,
幼魚なら,もっと多くの場所で観察されているが,
九州本土沿岸での成魚に近い個体の観察例は
比較的珍しいのではないか。

ただ,残念ながら,未だ再会は果たせていない。

*サンゴに宿るもの2013/10/29 22:25


サンゴヤドリガニ科の1種
撮影者:どこせん旦那
撮影地:坊津(鹿児島)
撮影機材:ニコンD7000/105mm F2.8マクロ
撮影データ:SS1/160秒,F16,ISO2
00

坊津では,アシビロサンゴヤドリガニと同じく,
スリバチサンゴ類に体形にぴったりのくぼみをつくり,
その中に宿って暮らしています。

幼体のときにサンゴに定着し,
その部分のサンゴが成長を止めてしまうことから,
体に合ったくぼみができあがるそうですが,
どのような作用でサンゴの成長を止めるのか,
謎で,とても興味があるところです。

上の個体は,くぼみから出てきたところなのか,
これから新たなくぼみができるところなのか,
定かではありません。
しかし,すでに成長していて幼体ではないので,
自分の宿を持っているのではないかと思います。

下の個体は,長崎・辰ノ口で見つけたものです。

サンゴヤドリガニ科の1種
撮影者:どこせん旦那
撮影地:辰ノ口(長崎)
撮影機材:ニコンD7000/105mm F2.8マクロ
撮影データ:SS1/125秒,F16,ISO2
50

アシビロサンゴヤドリガニに比べると,
かなり地味で,残念ながらあまり写真映えがしません。
でも,気になるんですよね。
目につくと,つい撮ってしまいます。


ところで,サンゴヤドリガニと言えば,
最近新種のカニが論文に記載され,
各地の新聞でも紹介されました。
ダイダイクボミサンゴヤドリガニ」という
とっても長い名前のカニです。(15文字!)
発見者は,京都大学瀬戸臨海実験所で研究をしている,
大学院生の座安佑奈さんです。
こちらこちらこちらでも紹介してあります。

世間では,深海ブーム真っ盛りですが,
浅い場所でも,未だ知られていなかった種が,
続々と明らかになっていくとは,
海ってやはり奥深いです。

*パステル岩肌バックにニシキ抜き2013/10/24 20:21


ホソフウライウオ

撮影者:どこせん旦那
撮影地:坊津(鹿児島)
撮影機材:ニコンD7000/105mm F2.8マクロ
撮影データ:SS1/125秒,F5,ISO2
00

ホソフウライウオとニシキフウライウオが,
ペアになっていました。
見た目地味なホソフウライウオの方が珍しいので,
贅沢にもニシキフウライウオを脇役にしました。

同じ仲間で体つきはそれほど変わらないのに,
派手さと地味さがこれほど極端に違うとは,
どういう進化の過程を経てきたのでしょう?

ホソフウライウオは,
トゲウオ目(2亜目11科71属278種)
  ーーヨウジウオ亜目
    ーーカミソリウオ科
      ーーカミソリウオ属
に,カミソリウオ,ニシキフウライウオと共に属します。
(カミソリウオ科は1属3種)

トゲウオ目は,魚の風貌としては変わり種の宝庫で,
他に,ウミテングの仲間,タツノオトシゴの仲間,
ヨウジウオの仲間,ヘラヤガラの仲間,
そして,サギフエやヘコアユなど,
吻が細長い,へんてこなタイプの魚たちが集まっています。

カミソリウオの仲間は,形態の変異が著しいため,

長らく分類が混乱していたそうです。

日本では,かつて,

カミソリウオ,フウライウオ,ノコギリフウライウオ

の3種に分類されており,

ニシキフウライウオは,

フウライウオの種内変異とされていました。


ところが,1994年に瀬能氏によって,

これらは全て同一種であることが明らかにされ,

まとめてカミソリウオとなりました。

また,このとき,ニシキフウライウオと

ホソフウライウオが,別種として記載されました。


とは言っても,見た目,

カミソリウオとホソフウライウオの区別は難しいし,

さらに,紛らわしいことに,

日本では消失してしまったノコギリフウライウオが,

外国では未だに別種扱いされたりしているそうです。


それは,ラフスナウト・ゴーストパイプフィッシュ

もしくはヘアリー・ゴーストパイプフィッシュ

Rough-snout Ghostpipefish/ Hairy Ghostpipefish/

   学名:Solenostomus paegnius

と呼ばれていて,

こちらのブログこちらのページで紹介されています。


とってもふっさり。まさにヘアリーなカミソリウオです。

このふさふさ感,フィリピンならではといった感じですが,

こんなの,日本でも見られるのでしょうか?