*壁に棲むもの2013/10/18 21:35


クマドリカエルアンコウy.a.
撮影者:どこせん旦那
撮影地:坊津(鹿児島)
撮影機材:ニコンD7000/105mm F2.8マクロ
撮影データ:SS1/160秒,F10,ISO200

5cmサイズくらいに育った個体です。
この岩のくぼみが体のサイズにぴったり。
よほど居心地がいいのでしょう。
岩壁の一部となってなじんでいます。
このまま化石となって一体化してしまいそうです。

*辰ノ口産未記載種のエビ2013/10/12 21:18



撮影者:どこせん旦那
撮影地:辰ノ口(長崎)
撮影機材:ニコンD7000/105mm F2.8マクロ
撮影データ:SS1/125秒,F11,ISO250


海もぐらさんから教えていただいた,
未記載種と思われるエビです。
テナガエビ科の仲間,通称「ハネガヤのエビ」
として紹介されています。
海もぐらさんは長年定点観測されています。
ハネガヤが繁るこの時期限定で繁殖しているそうです。
エビの仲間は未記載種がとても多くて研究が進んでおらず,
この種は未だ同定のための採取さえ行われていないそうです。
記載はおろか,研究対象にあがるのも随分先の話になるのかも。
ビイドロカクレエビに続き,
辰ノ口で日本初記録となるのでしょうか?
はたまた,世界初記録つまり新種発見となるのでしょうか?
さすが,長年辰ノ口を潜り続けてきている,
海もぐらさんならではの眼力です。



撮影者:どこせん旦那
撮影地:辰ノ口(長崎)
撮影機材:ニコンD7000/105mm F2.8マクロ
撮影データ:SS1/125秒,F11,ISO250



*辰ノ口特産 ビイドロカクレエビ2013/10/06 01:18


ラムネ瓶の中に入っているガラス玉はビー玉にあらず。
じゃあ一体何なのでしょうか?
答えは「エー玉」なんだそうです。
初めて聞くと,なんじゃそりゃとつっこみたくなりますが,
これは,トリビア界では有名なお話。

ビー玉の語源にまつわる次のような説があります。

ラムネの栓をするガラス玉は,
炭酸水の圧がかかっても中身が漏れ出さないような,
精度の高い球になっていなければならず,

直径16.85±0.15mmという規格が定められているそうです。

工場では,検査に通って実用品となった玉を「A玉」と呼び,

検査にひっかった規格外品を「B玉」と呼んだそうです。

「B玉」は再度溶かされる運命にあったのですが,

そこに目ざとく目をつけたある商売人が,

子どもの遊びものとして売り出したものが,

「ビー玉」として全国に広まっていった,というもの。


しかしこれは,どうも真しやかに作られた俗説のようです。


やはり,ビー玉の語源は「ビードロ玉」の略で,

ビードロvidro]はポルトガル語ガラスを意味する。

というのが定説のようです。

(広辞苑[1]、大辞泉[2]、日本大百科全書[3]などはこの説を取る)

Wikipediaより。

全国清涼飲料協同組合連合会をはじめ,
ラムネ瓶製造業の方もこのガラス玉のことを
普通にビー玉と呼んでいますし,
やはりビー玉ありきで,エー玉はシャレのようです。
そもそもA玉,B玉と呼ぶのは,
便宜的に品質を表す呼称なので,
当然,品質で区別する以前に,
品物そのものの名称があるはずです。
また,規格外のB玉が売るほどできてしまうようなら,
それこそ商売にはならないわけで,
ちょっとこの説は信憑性が低いようです。


と,つまらない前振りを長々と綴ってしまいましたが,
本題は,ビイドロカクレエビです。

九州北部を代表するビーチエントリーポイントである,
長崎県長崎市香焼町の辰ノ口。
この地で本種は日本初記録となり,標本が採取されて,
千葉県立中央博物館分館 海の博物館所属の

奥野淳兒(おくのじゅんじ)氏によって,

2005年に学術論文が発表されました

当初は,アカホシカクレエビ・辰ノ口型
と呼ばれていたそうですが,
晴れて,

学名 Periclimenes adularans

 (→ 後に新属が提唱され,Ancylomenes adularansと変更。)

標準和名 ビイドロカクレエビ

という素晴らしい名前がつきました。


ガラスのように透き通った体に,

赤・白・黄色の小さな斑点が散りばめられ,

ハサミと尾に鮮やかな紫色が配された可憐な姿。

初記録の地である長崎の特産品のガラス細工,

「ビードロ」にちなんだ名前は,秀逸です。


なぜ「ビドロ」ではなく,「ビドロ」なのか。

それは,カタカナ表記の「ビードロ」ではなく,

ひらがな表記の「びいどろ」にこだわったから,

なのではないかと推測します。

結局は和名表記の原則からカタカナの

「ビイドロ」になってしまうのですが,

姿形だけではなく,その名を呼ぶときの音の響き,

表記のしかたにまで配慮したネーミングに脱帽です。


本種に標準和名がついた2005年といえば,

私たちが丁度セルフで辰ノ口を潜るようになった年です。

こんな熱いことになっているポイントとはつゆ知らず,

懸命にナビゲーションに励んでいた頃です。


本家本元の辰ノ口で,潜っていながら,

私たちは,なかなか本種を発見することができませんでした。


砂地のスナギンチャクをホストとしていることが多い

ということを聞いたのですが,

そのホストすら滅多に見当たらない。

実物を目にする機会に恵まれないまま,

6年の歳月が経ってしまいました。


そして,ついに訪れた私たちと本種との出会いは,

2011年の8月です。

この日も捜索に捜索を重ねて諦めかけていたところに,

偶然,ウミエラについていた個体を,

どこせん奥様が発見しました。

これまでは,辰ノ口でウミエラについているカクレエビと言えば,

オドリカクレエビしか見たことがなかったので,意外でしたが,

写真と撮る側からしてみれば,願ってもないチャンス。

しかし,突然訪れた千載一遇の機会にうろたえ,

満足いくショットは得られずじまい。



この個体は結構近づいてもすぐには逃げ出さず,

しばらく撮影につきあってくれました。

腹部と頭部にぎっしりと卵が詰まっていることから,

動きが鈍くなっていたのかもしれません。


砂地をバックに卵をもたないオス?の個体を撮影したところ

見事に砂地にカモフラージュして,存在を消しています。

まるで忍術使いのようです。

最近では,ようやく生息域も絞り込むことができ,
目も慣れてきたことから,
会おうと思えば,ほぼはずすことなく,
見つけることができるようになりました。
しかし,はじめての出会いのときのような,
写真映えするシチュエーションに
再びお目にかかったことがなく,
本種本来の美しさを引き出すことのできた,
満足のいく写真を手に入れるには至っていません。

次の写真は,背景は砂地ですが,
ケヤリの棲管?の上に止まっていたので,
ちょっと背景を抜き気味に撮影できたもの。


次の2枚は,フラフラとホバリングしているところを
フォーカス合わせに苦しみながら,粘って撮影したもの。



これからも,
この,辰ノ口の名物と末永くつきあっていきたいものです。
そして,いつかは満足のいく写真を撮ってみたい。