*辰ノ口特産 ビイドロカクレエビ ― 2013/10/06 01:18
直径16.85±0.15mmという規格が定められているそうです。
工場では,検査に通って実用品となった玉を「A玉」と呼び,
検査にひっかった規格外品を「B玉」と呼んだそうです。
「B玉」は再度溶かされる運命にあったのですが,
そこに目ざとく目をつけたある商売人が,
子どもの遊びものとして売り出したものが,
「ビー玉」として全国に広まっていった,というもの。
しかしこれは,どうも真しやかに作られた俗説のようです。
やはり,ビー玉の語源は「ビードロ玉」の略で,
というのが定説のようです。
奥野淳兒(おくのじゅんじ)氏によって,
2005年に学術論文が発表されました。
学名 Periclimenes adularans
(→ 後に新属が提唱され,Ancylomenes adularansと変更。)
標準和名 ビイドロカクレエビ
という素晴らしい名前がつきました。
ガラスのように透き通った体に,
赤・白・黄色の小さな斑点が散りばめられ,
ハサミと尾に鮮やかな紫色が配された可憐な姿。
初記録の地である長崎の特産品のガラス細工,
「ビードロ」にちなんだ名前は,秀逸です。
なぜ「ビードロ」ではなく,「ビイドロ」なのか。
それは,カタカナ表記の「ビードロ」ではなく,
ひらがな表記の「びいどろ」にこだわったから,
なのではないかと推測します。
結局は和名表記の原則からカタカナの
「ビイドロ」になってしまうのですが,
姿形だけではなく,その名を呼ぶときの音の響き,
表記のしかたにまで配慮したネーミングに脱帽です。
本種に標準和名がついた2005年といえば,
私たちが丁度セルフで辰ノ口を潜るようになった年です。
こんな熱いことになっているポイントとはつゆ知らず,
懸命にナビゲーションに励んでいた頃です。
本家本元の辰ノ口で,潜っていながら,
私たちは,なかなか本種を発見することができませんでした。
砂地のスナギンチャクをホストとしていることが多い
ということを聞いたのですが,
そのホストすら滅多に見当たらない。
実物を目にする機会に恵まれないまま,
6年の歳月が経ってしまいました。
そして,ついに訪れた私たちと本種との出会いは,
2011年の8月です。
この日も捜索に捜索を重ねて諦めかけていたところに,
偶然,ウミエラについていた個体を,
どこせん奥様が発見しました。
これまでは,辰ノ口でウミエラについているカクレエビと言えば,
オドリカクレエビしか見たことがなかったので,意外でしたが,
写真と撮る側からしてみれば,願ってもないチャンス。
しかし,突然訪れた千載一遇の機会にうろたえ,
満足いくショットは得られずじまい。
この個体は結構近づいてもすぐには逃げ出さず,
しばらく撮影につきあってくれました。
腹部と頭部にぎっしりと卵が詰まっていることから,
動きが鈍くなっていたのかもしれません。
砂地をバックに卵をもたないオス?の個体を撮影したところ
見事に砂地にカモフラージュして,存在を消しています。
コメント
_ mie ― 2013/10/08 09:11
_ どこせん ― 2013/10/08 22:16
和名の名付けセンスって大事だと思います。
人の名前なんかがついていると,がっかりです。
海の中には,名前のついていない生き物や
名前の知らない生き物,見たことのない生き物がたくさんいて,
いつもわくわくします。
いま,台風が接近してきています。
まだ,風はそうたいしたことはありません。
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快心の一打を見せてください。
奄美の西原(にしばる)という台風でも来ない限りは行かないポイントにいる金色のハゼには最近ナデシコイソハゼという名がついたそうです。
後一息、だけど70点のネーミング。キンイソハゼとかにならなくて、よかったです。
B玉は、たかだかラムネのビンにそれほどのクオリティーを追及する職人気質がいい!なぁ。寧ろそうあってほしいです。いつもかもコストパフォーマンス最優先ではね。
台風来ています。どうぞお気をつけて。