海霧の贈り物@糸島

今年はなかなか暖かくならないなーと思っていたら,
にわかに初夏のような天気になりました。

潜りには行けないけれど,せっかくの陽気ですから,
海ドライブに出かけました。

ところが,海に近づくにつれて,
濃い霧が立ち上っていて視界が遮られます。
海が全く見えません。

海霧(うみぎりorかいむ)というのだそうです。
湿った温かい空気が、冷たい海水の上で冷やされて霧が発生するんだそうです。

糸島の海岸には,海遊びの人たちがたくさん繰り出していましたが,
肝心の海は見えず,図らずも残念な状態です。

車を停めて,霧に包まれた砂浜へおりました。
波打ち際しか見えないほどの濃霧でしたが,
これはこれで不思議な光景が見られて,
得したような損したような,なんだか妙な気分です。

シーグラスでも落ちていないかと砂浜をてくてく歩きますが,
全く見つかりません。

漂着ゴミもほとんど見当たらず,
とってもきれいなビーチです。
それはそれでいいことです。

霧の向こうから不意に,白い貝殻のようなものが目に入ってきました。
???

オウムガイ???  まさかね。
and イカ??? タコ???

すかさず奥様がネットで調べてみると,
「アオイガイ」なるものでした。
なんと珍しい,貝殻をもつタコです。
貝殻をふたつくっつけると葵の葉のように見えることからついた名だそうです。
別名「カイダコ」。
こちらはズバリ過ぎて無粋です。

貝殻を持ち上げると,
本体はずるりと落ちてしまいました。
浜に打ち上げられてからさほど時間は経ってはいないようですが,
すでに絶命していたようです。
慎んで海へお返ししました。

貝をもつのはメスのみで,
この貝の中で卵が孵化するまで守るのだとか。
そう言えば,貝殻の奥の方に薄黄色い卵塊のようなものが残ってました。

ビーチには割と人がいましたが,
濃霧のせいで誰にも見つからなかったのでしょう。
幸運にも私たちが第一発見者となったようです。

アオイガイは時々打ち上げられるようですが,
その繊細さかつ見事な造形美から,
ビーチコーミングをする人たちに絶大な人気を誇っているらしく,
あっという間に拾われてしまうそうです。

完全な状態の貝殻が手に入り,
また,息絶えてはいたものの,
本体の姿まで拝むことができて,
ラッキーでした。

「海霧よ今日はありがとう」

貝殻は極めて薄く,手荒く扱うとすぐに割れてしまいそうです。
壊れないように,慎重に,きれいに洗って飾りました。