*ほのぼの顔 ― 2014/05/15 20:12
欧米ダイバーの間では,サメやウツボなど,
大口で牙が鋭い獰猛なイメージの魚が人気と聞きます。
我々はそれよりも「かわいい,きれい,おもしろい」を
求めて海の中をさまよっている訳ですが,
時には,かわいいウツボにも遭遇することがあります。
ヘリシロウツボ
NIKON D7000-105.0 mm f/2.8 / 露光量1/125 秒 (f / 13) / ISO 100
やや幼い顔つきでした。
ウツボ
NIKON D7000-105.0 mm f/2.8 / 露光量1/100 秒 (f / 14) / ISO 100
このゆがんだ顎は一体どうしたのでしょう?
見た瞬間,思わず笑いがこみ上げてきました。
手芸店に置いてある,ぬいぐるみ用のどんぐり目玉を
そのままペタンとくっつけたような瞳も相まって,
なんともほのぼのとさせてくれる表情です。
*イソバナの同居人 ― 2014/05/17 10:50
赤いイソバナをライトに照らし目を凝らしたところ,
数種の小さな生き物たちが見つかりました。
各々がこじんまりとしたテリトリーを維持しつつ,
付かず離れず暮らしていました。
イソバナカクレエビ
NIKON D7000-105.0 mm f/2.8 / 露光量1/125 秒 (f / 18) / ISO 100
オルトマンワラエビ
NIKON D7000-105.0 mm f/2.8 / 露光量1/125 秒 (f / 18) / ISO 100
クラゲエビ?
NIKON D7000-105.0 mm f/2.8 / 露光量1/125 秒 (f / 18) / ISO 100
キンスジケボリ?
NIKON D7000-105.0 mm f/2.8 / 露光量1/125 秒 (f / 10) / ISO 100
イソバナのポリプは開いていませんでしたが,
イソバナの骨格の微妙な曲がり具合や枝分かれの造形が
十分に面白く,そのデザインを浮き上がらせたかったので,
黒抜きにしてみました。
*カタギのヒミツ ― 2014/05/18 10:33
潮通しのよい少し深場の壁際で,
奥様がおいでおいでをして前方を指さしました。
指さす先には見慣れぬチョウチョウウオが,
3匹集まって泳いでいました。
コクテンカタギ
NIKON D7000-105.0 mm f/2.8 / 露光量1/125 秒 (f / 9.0) / ISO 100
落ち着いてじっとしてくれないので,
なかなか思うように写真が撮れませんでした。
コクテンカタギは,各種図鑑の解説によると,
国内では,南日本の太平洋岸,琉球列島,
小笠原諸島に分布すると書かれています。
しかし,小笠原で割と大きな群れが見られる他は,
各地で頻繁に見られるというわけではないようです。
「分布する」という範疇には,
「幼魚または成魚がたまに見られることがある」
といった例も含まれているようです。
国内では,定住して繁殖している様子を
観察できるようなエリアは数少ないようです。
エグジット後に,
「コクテンカタギがいましたよ!」と
B-POINTのりつこさんに伝えると,
「もう1年ぐらいずっといますよ」とのこと。
「なんか珍しいみたいですね」と涼しい顔でした。
やはり,恐るべし坊津。
ところで,
チョウチョウウオの仲間の中で,
「カタギ」と名のつくものが3種だけいます。
コクテンカタギとハクテンカタギとヤリカタギです。
コクテンは黒点,ハクテンは白点,ヤリは槍ということは
体の模様から見て容易に納得がいくのですが,
「カタギ」の方の名前の由来が気になります。
こんなときは,とりあえずWebで検索。
「カタギ」と聞いてまず思い浮かぶのは,
「気質」や「堅気」でしたが,
さすがにこれらは関係ありませんでした。
このことについては,同じように疑問を抱いた人がいて,
有名な瀬能宏博士に直接質問したのだそうです。
「カタギ」は,もともとは荷物を担ぐの意味の
「かたぐ」からきているのだそうです。
1935年,当時高知大学の蒲原稔治教授によって
「ヤリカタギ」と「コクテンカタギ」の
和名が提唱されたとき,漢字も併記されており,
それぞれ「槍擔」「黒点擔」と表記されていたそうです。
「擔」は「担」の旧字体(異体字)です。
後に,「コクテンカタギ」にならって,
白黒が反転した模様のチョウチョウウオに,
「ハクテンカタギ」の和名がつけられました。
「ヤリカタギ」は槍を担いでいるように見えるからと
やや苦しいですが,まあ言えなくもありませんが,
黒点を担ぐ,白点を担ぐというのは
いまひとつ合点がいきません。
その点について瀬能博士は,
知見に富んだ解釈をされています。
高知県の須崎地方では,
かつてハタタテダイのことをヤリカタギ(槍担ぎ)と
呼んでいたのだそうです。
体の後方まで長く伸びた背鰭を思い起こせば,
この呼び名は容易に合点がいきます。
やがてハタタテダイという和名が定着すると,
ヤリカタギの名前が宙に浮いてしまいました。
おそらく,蒲原教授の脳裏に
このヤリカタギという言葉が残っており,
ヤリカタギとコクテンカタギの和名を提唱するときに,
「カタギ」を元の「担ぎ」という意味ではなく,
「形木」という意味に置き変えて使ったのではないか。
しかし,何らかの手違いからか,漢字表記は
「形木」ではなく「擔」のままになってしまっていた。
というのが瀬能博士の推察でした。
なるほど,模様を写しとる「形木」という意味なら,
カタギ御三家の名前も俄然しっくりきます。
つまり,「カタギ」は「担ぐ」の意味の
「担ぎ(かたぎ)」が転じて,
「形木」が由来となったもの
という説が有力っぽい。
というようなことを,
得意顔で奥様に説明したところ,
しばらくの沈黙ののち,
「どうせまた長々とブログに書くっちゃろうね」
とぼそっと言われました。
はい。おっしゃるとおりでござります。
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